高校を卒業したら
美容師になり、ブライダル関係のサロンで働くことが私の夢でした。
美容学生、半ば
その旨を美容学校の先生に伝えたところ、
「すごくあってると思うよ」
・・・
提携の結婚式場で働くことが決まりました。
希望に満ち溢れていました。
...
インターンがはじまり、そこには3人の先輩がいました。
5歳以上離れていたと思われる年上に見えたその人たちは、アシスタントしかまだやっていませんでした。
ピンの助手、髪を巻く、メイク、手の化粧、和装の介添え、着物を畳む、着付の助手の助手。
片付け、雑用。
「何年たっても、アシスタントなのか…」
そんな世界なのかと愕然とした思いと
未来が見えないことの不安が襲ってきました。
そんな中
その先輩たちからの嫌がらせもはじまりました。
私への態度、私へ向けられる目つき、陰口悪口、
その人たちの心情は知ることもできませんが、
「やめたら」
と願っているんだろうということが、
言葉に出さずともわかりました。
思い描いていた、夢、希望、理想は完全に砕かれました。
...
「あんなひとたちと一緒にもいたくないし、こんなところにもいたくない。美容師になることすらどうでも良くなった。」
私は逃げると決めました。
先生からも誰からもひきとめはありませんでした。
…
それからの私は
美容と関係ないバイトをしたり、一般の会社に勤めたり、
それはそれで、たくさんの人との出会いもあり、
美容とは一旦離れたことも、
貴重な経験だったと思っています。
‥‥
「やっぱり美容師の仕事がしたい。」
そう思うことができたのは
外の空気に触れ、違う世界の人たちと出会い、違う世界を見ることができたことで、
外側から美容師の仕事をみることができたから。
それは本当に大きかったことかもしれない。
許せなかった気持ちから解放され、自由になった瞬間でした。
‥‥
「待ってたよ。」
先生はそう応えてくれました。
‥‥
その後、
私はその先生のつながりで、
他県へ行き、また戻り。
再びたくさんの山あり谷あり、凸凹の経験を味わいながら、
悩んだ時、つまづいたとき、そしていいことがあったときには
話を聞いてもらいに
先生のところへ会いにいったり、手紙を書いたりしました。
おかげさまで、
私はまだ美容師を続けています。
私の美容師としてのターニングポイントにはいつでもその先生の存在がありました。
ひとりとしっかり向き合い、人一倍思う気持ちがあり、
いつでも気にかけ、優しく見守り、最後まで見放さなかったひと。
美容学校の先生であり、サロンのオーナーでもあるそのひとは
まっすぐで、素敵な女性です。
「私もそんな人になりたい。」
私の美容師像は、その先生です。
...
今では、年に1度のハガキのやり取りだけとなっていたことに、
人生の振り返りをしながら気づくことができました。
また会いに、行こうと思います。
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